異世界料理道【ラノベ感想】

2023年1月10日

異世界料理道
著:EDA
イラスト:こちも
出版:HJノベルス

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アマゾンのあらすじより

「食の楽しさ」を忘れた異郷で、見習い料理人がグルメ革命を起こす!
父親の経営する大衆食堂の見習い料理人、津留見明日太(つるみあすた)は、父親の魂とも言える三徳包丁を火事から救うべく火の海に飛び込んだ。
そして気づけば、そこは見知らぬ密林の真っ只中。
イノシシにそっくりの野獣ギバに襲われ、『森辺の民』を名乗るアイ=ファという少女に救われた明日太は、そこが異世界だということを知る。
ガスコンロも冷蔵庫も存在せず、人々はただ生きるためにモノを喰らう。
「食事」の喜びが忘れられた異世界で、見習い料理人が無双する!

感想

16巻まで読んでの感想です。
2015年初出の作品だとしても、チートや無双がこじんまりとしていて我が道を行く異世界ものです。
 
主人公のアスタは、家業を手伝いの見習い料理人です。食堂で出すような大衆的な料理はできても、会席などのコース料理を作れるわけではありません。現代人としての知識は持っていても、科学や工学のような異世界を一変させるような知識と経験はありません。徹底的に普通の人なんです。
普通の現代人が持っていた料理の知識を生かして、小さく小さく周囲の人たちを幸せに変えていく物語です。
 
派手さは全くありません。やっていることの基本は、美味しい料理を作ること・体にいい料理を作ることだけです。あとはその過程で、料理を街で提供して生活費を稼いぐぐらいです。『森辺の民』のこれまでの生活に比べると劇的な変化といえますが、異世界に転生して成したことと考えるとポケットの中的に庶民派です。
 
見所は登場人物との交流です。命を救ってくれたアイ=ファとアスタは、本当の家族のような信頼関係です。そして『森辺の民』は部族制で血のつながりや信頼関係を重視して、濃密な関係を描いています。作中の『森辺の民』は、相当多いです。普通であればどんなキャラか分からなくなり、ボヤっとしてしまうところなのでしょうが、部族制らしい人間関係の濃さを描いているので把握できてしまいます。人の繋がりが温かい作品です。
 
作品のメインとなる料理についても、異世界感バリバリです。異世界的なファンタジーに、トマトやジャガイモ・米が都合良くあるわきゃないでしょ、と異世界独自の品種になっています。そのため見た目は似ていても全然違う野菜や、味はそっくりな野菜を組み合わせて自分が知っているレシピと組み合わせて、誰もが「うまい!」と感じる料理をつくる試行錯誤が面白いです。当然、料理環境もかまどと直火なので火加減から苦労の種です。徐々にできることが増えていく様子は楽しいです。
 
派手さはありません。しかし異世界感あふれる料理屋をみせてくれます。じっくりゆっくり進展しますので、スローライフな作品が好きな方にオススメできます。
 
 
ちなみにある程度巻が進むと権力争いや、陰謀に巻き込まれる場面が出てきます。この時、主人公のアスタは一般人なので、お姫様よろしく見ているだけです。体を張るシーンは、アイ=ファをはじめ現地人が活躍します。そういうところも含めて本作の異世界感は徹底しています。
あと争いがあっても比較的穏便な結末が多いので、殺伐とした物語が苦手な方も安心ですよ。
 
異世界料理道1 (HJ NOVELS)
EDA
ホビージャパン
2015-02-20
 
 
 

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Posted by kyoikyoi