氷の国のアマリリス 【ラノベ感想】

2022年12月18日

氷の国のアマリリス
著:松山 剛
イラスト:パセリ
出版:電撃文庫

氷の国のアマリリス

アマゾンのあらすじより

氷河期が訪れ、全ては氷の下に閉ざされた世界。人類は『白雪姫』という冷凍睡眠施設で眠り続け、そして、それを守るロボットたちが小さな村を形成し、細々と地下での生活を続けていた。 副村長の少女ロボット・アマリリスは崩落事故による『白雪姫』の損傷や、年々パーツが劣化する村人たちのケアに心を砕いていた。再び人と共に歩む未来のために。しかしある時、村長の発した言葉に、彼女と仲間たちは戦慄する。 「──人類は滅亡すべきだと思う」 機械たちの『生き方』を描く感動の物語。

感想

地球環境が悪化して冷凍睡眠に入った人類を支えて仕えるロボットたちの物語です。
とても心に訴えかけてくるよいお話でした。文章も美しくて終始楽しかったです。

アマリリスはじめロボットたちは、人間に奉仕するように作られています。だから子を護る親のように人間に尽くすんです。それが100年経ったとしても。

老朽化してボロボロになりながら人間に仕えたり、人間に褒めてもらう日を思い焦がれるアマリリスたちの姿は泣けてきます。仕えるのはあたりまえとして振る舞う姿が健気でなりませんでした。

とはいえ100年を超える地下生活は、そんな彼らを衰退と滅亡へと追い込んでいきます。その果てに「人間を護り滅ぶか」、それとも「人間を見捨て生き残るか」の究極の選択を突きつけられます。

アマリリスたちの心底悩み葛藤する様子が、読んでいて痛いほど伝わってきました。読者としてもどちらの結末が良いのだろうか? 、と葛藤を突きつけられる作品です。後半はとくにスゴかったぁ。

 

 

あと日本語のチョイスが素敵な文章なんですよねぇ。23ページ目の文章より引用します。

ホールにはとめどなく光の粒が降り積もる。
一粒一粒が『三重六花』という複雑な形をした結晶は、重なり合うほどに美しさを増して銀世界をさらなる雪化粧で彩る。

情景を想像させてくれて没入感がたまりません。読むのが楽しい作品です。

 

 

2014年と前の作品です。それでも全く色あせない名作でした。オススメします!

 

氷の国のアマリリス (電撃文庫)
松山 剛
KADOKAWA
2014-05-28
 

 

同レーベルの感想も読んでみる

電撃文庫の感想

 

Visited 7 times, 1 visit(s) today