理想の聖女? 残念、偽聖女でした!【ラノベ感想】

2023年1月11日

理想の聖女? 残念、偽聖女でした! ~クソオブザイヤーと呼ばれた悪役に転生したんだが~ 
著:壁首領大公
イラスト:ゆのひと
出版:カドカワBOOKS
  9784040741550
 

アマゾンのあらすじより

目覚めるとゲームに登場する嫌われ者の偽聖女になっていた! 暇潰しでレベルを上げて、あとは適当に良い人ぶって……すると最強の魔法(回復&物理)と天使のような性格(勘違い)にどんどん崇拝者が増えていき!?

感想

タイトルからしてコメディ色が強い愉快な作品でした。主人公と周囲の勘違い展開が好きな方にはぴったりだと思います。ページボリュームのわりに読みやすくて面白かったです。

ゲーム内への転移なんですけど飛んだ先が、性格最悪でイベントだと退治されるクソキャラへの転生だったんです。クソキャラとはいっても聖女に間違われるくらい完璧な容姿、才能の塊だったりします。だから偽聖女です。
そして彼女がゲームの原作展開だとヒロインの悲劇しか生まないので、聖女らしい振る舞いに改める。ヒロインの邪魔をしないようにと動いていくようになります。そうすると才能だけは特Sのキャラだから自然と聖女ポジにおさまっていって、周囲の勘違いが巻き起こりまくる面白展開となっています。

面白いのは勘違い展開ですねぇ。主人公は"自分超強いからNPCは肉壁にもならん。無駄だから寝てろ"って態度で接していると言うんですけど、実際のセリフは"あなた達を傷つけたくない"とかどう見ても聖女な内容です。それだから周囲のキャラは主人公を聖女扱いのアゲアゲですよ。テンポがよい勘違い系作品です。ゲーム内主人公のベルネルくんが完全に聖女を勘違いして、偽聖女とギャルゲ展開をしそうにするシーンは特に好きなところです。

あと作中ではゲーム内と現実世界を行ったりきたりするシーンがあります。その中で主人公がとった行動が原因でゲーム未発見のイベントが起きたとリンクする展開もあります。ゲーム内のお話だってのが伝わるので状況がとても理解しやすかったです。
勘違いが過ぎる真面目系ポンコツのスットコさんとか、何故かモブAなのに出番が多いキャラとか魅力的なキャラとの掛け合いもまた面白かったです。

 

2巻目の感想

2巻目もおもしろかったです。勘違いからくる笑いを徹底的についてきます。主人公がしょうがないからポーズだけ見せておくかの内心に反して、ちょっと引きで眺めたらアルティメット聖女ムーブです。そりゃベルネル君もヒロインそっちのけで偽聖女に命と忠誠を捧げちゃいますよ。

また2巻目では、偽聖女に希望をもらったモブ兵士の奮闘シーンに思わず感動してしまいました。主人公最強な本作でこういう展開も読めるとは、嬉しい驚きです。加えて権力者も単純な賛同者とか悪役とせずにちゃんと権力者として描写もありました。web発の作品だとあんまりこういうのないんですよ。権力の重み・判断の重みをきちんと描かれてます。こういうのとっても私好みです。
本作だとコメディ強めで読みやすい作風ですが、間違いなく作者さんは王道展開でも面白く書くんでしょうね。世界観の構築もきちんとされていますし。もし他の作品が出たら読んでみたいです。

 

3巻目の感想

偉そうなのに煩悩まみれでポンコツな聖女様って、またも魅力的なキャラが登場です。よりいっそう楽しい掛け合いが増えて面白かったです。こういうアホの子は大好きです。

ついに魔女を追い詰めて、さぁ乗り込むぞという3巻目です。
面白いなぁと思ったのが、あえて魔女の立場で見せてくれたことです。たしかに魔女からしてみれば、会ったら逃げるしかない「これなんてムリゲー」な状況です。そりゃぁ闇落ちも深くなりますね。魔女に救済はあるのかな? 続きが気になります。

あと異世界転生について明確な理由付けがあるのも嬉しいです。
これまで現代パートで??な謎もありましたが、ついに仕組みが判明しました。SFみたいなこういうネタがしっかりしていてコメディだけじゃないのは、本作の面白いところです。

 

4巻目の感想

ついに完結。最後までお話を読めたことにまずは感謝です。
エルリーゼ様は、まぁ完璧ですからね。もし亡くなってしまったらそりゃぁ……という納得の序盤でした。ベルネルくんは想像通りとして、スットコさんまでこんなにエルリーゼ様に心酔していたのか…としんみりしてしまいました。

SF的な時間軸の移動についても決着です。こういうオチだったんですね。
深読みをすると「久遠の散花」が先なのか、エルリーゼ様が先なのか? 「でどっちが最初なの?」なSFっぽい謎を残してくれているのも楽しかったです。

 

そして4巻目の半分以上を占める番外編には驚きました。エルリーゼ様日本へ行くとか、エルリーゼ様の活躍をもっと読みたいんだろぅ?という作者の優しさを感じる4巻目でした。最後まで面白かったです。

 

 
 
 
 

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