この先、絆があるぞ【ラノベ感想】

この先、絆があるぞ
著:田口仙年堂k
イラスト:lack
出版:KADOKAWAの新文芸

  この先、絆があるぞ

アマゾンのあらすじより

オンラインと現実の狭間で揺れ動く高校生のゲームライフストーリー

高校生ユウの趣味はゲームだ。自分のプレイヤースキルを試せるPvPが特に好きで、それを配信しリスナーと共有する日々を楽しんでいた。そんなある日。クラスメイトのダイが漏らしたのは、ゲーム『ELDEN RING』初心者特有の悩み。思わずアドバイスを返してしまい、ダイと一緒にプレイすることになる。この手のゲームは初心者だというダイは、驚き、喜び、ムキになったりと全身でゲームに熱中していて、ユウも気づけばダイとのゲームを楽しみにするようになっていた。しかし同じように楽しんでいたはずのゲーム配信ではリスナーと微妙な空気になってしまい――。オンラインと現実の狭間で揺れ動く高校生のゲームライフストーリー。

感想

エルデンリングのコラボ小説第2弾です。
第1弾の『仕事が終われば、あの祝福で』は、職場の同僚とエルデンリングを通じて絆を深めていく社会人ものです。

その次の本作は、高校生を主人公とした青春とゲーム配信ものでした。

今度は闇の高校生ユウ(エルデンリングの配信者)と光の高校生ダイ(エルデンリング初心者)が、一緒にプレイをしながら絆を深めていきます。クラスメートのダイがオタクに優しい陽キャイケメンで、ゲームに偏見がないし純粋にゲームを楽しむのとユウとゲームをするのが楽しいって、屈託がなくてまぶしいかぎりです。

ユウのゲームガチ勢なプレイスタイルがよかったんでしょうね。最初にダイが友人とエルデンリングを遊んだときは、「ここはオレがやるからって」初めてのクエストでもフレンドにおんぶにだっこじゃ、ゲームをのワクワク感はなくなってしまいますからね。
だから初見殺しでダイがやられると分かっていても、サポートに徹するユウとのプレイがハマったんだろうと思います。

そして毎晩一緒にプレイしていれば、自然と会話が増えて昼間の学校でもいっしょになる時間が増える。そしたら「あれおまえらって仲良かったっけ?」となる。ユウのイメージがクラスでちょっとだけ変わって、毎日がちょっとかわる。
うんうん、ゲームをきっかけにした学園青春ものっぽですねー。

そういう作品が好きな方には刺さるんじゃないかと思います。
自分とは正反対の友人と繋がりをきっかけに、新たな学園生活が開けていくお話です。

 

残念ながら私はユウの性格がいまいち合わずだめでしたが……

ユウは陰キャなんですよ。
それも相当にこじらせちゃってエルデンリングの配信者として、陽キャ狩りをしてザマアってのをリスナーと分かち合ってるくらいなんです。自己肯定感もかなり低いタイプです。

ダイと一緒に遊び始めた理由も陽キャが、エルデンリングの理不尽さに絶望したときのリアクションをみたい一心ですからね。
かなり屈折したキャラクター過ぎて、その印象が強すぎました。中盤以降だとダイに浄化されてだいぶマシになっても最初がああだからなあ。

 

あと配信用については配信が主というより、ユウとダイの関係を気づかせるために配信要素があったんじゃないかと感じます。
あくまでも本作のメインは、ユウとダイの絆の方ですね。

 

 

それからどうしても気になったのが、エルデンリングのコラボとしてどうなの?ってところです。

仕事が終われば、あの祝福で』は自由なプレイスタイルが提供されていること、制作者のこだわりを感じる物語がこめられていること、協力プレイの楽しさと。私から見るとエルデンリングを遊んだことがない人に、興味を持ってもらおうという意思を感じる作品でした。
そのため読んでからエルデンリングの公式動画を見にいったくらいでした。

本作にもエルデンリングのシステムやプレイ内容のことは、ページ数をさいて書かれています。でもそこからエルデンリングの魅力が伝わってきませんでした。私はそれをよんでゲームをプレイしたくなるか?というと……疑問ですね。
対人戦のところが強調されていて、下手したらそれが嫌いな人は敬遠しちゃうんじゃないか感じるくらいです。

実際にエルデンリングを全く知らない人にとって、この作品を読んで感想ってだったんでしょうね? 遊びたいってなるのかなあ……
この作品を読んで友人とゲームで遊びたいとはなっても、エルデンリングを遊びたいとなるものなのか。

 

 

 

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