入居者全滅事故物件【ラノベ感想】
入居者全滅事故物件
著:春海水亭
イラスト:安藤 賢司
出版:KADOKAWAの新文芸
アマゾンのあらすじより
敷金礼金家賃不要!葬式代のみ自費負担!SFアクション不動産ホラー開幕!
『私、ストロング・ザ・メリーさん……』
深夜二時に東城明子のスマートフォンにかかってきたのは、都市伝説怪談めいた内容だった。
だが、ストロング・ザ・メリーさん……!?
何かがおかしい……。
「その……イタズラですか……?」
『貴様を殺す』
!!そして再び震えたスマートフォンからは
『私……ビッグ・ザ・メリーさん……』
!?連続する怪異に慄く明子にしかし、希望の声が聞こえてきたのもその後すぐであった。
『俺は俵さん、今アンタを助けに行くよ』間一髪、『バケモン共をしばいて回っている男』俵耕太に助けられた明子だったが、俵の口からは再び耳を疑うような言葉が発された。
「非道建築タワーマンションのバケモンがアンタを狙っている」
常軌を逸した最強最悪の事故物件との、壮絶な戦いが始まった──
感想
考えるな 感じるんだ。
どうしても映画「燃えよ!ドラゴン」の一節を引用したくなる作品でした。
あらすじどうですか?
1行ごとにツッコミいれないと、追いつかないんじゃないでしょうか。
「ストロング・ザ・メリーさん」?
「非道建築タワーマンションのバケモン??」
「最強最悪の事故物件???」
いやいやこんなのは序の口です。本文中じゃ「一級事故建築士」とか「家賃が下がり続けた事故物件は、いるだけでお金が湧いてくる」とかパワーワードにトンチキナ現象のオンパレードです。
でもそのくせに強大な悪を打ち倒す展開や親子の思い出なんて、一見するとお話は起伏にがあるんですよね。
無茶苦茶な設定だらけのくせに、一歩引いてみるとちゃんとしたお話になっているんです。
だから途中で私は気づきました、これはB級カルト映画と同じノリんなんじゃないかと。
空からサメが降ってくる映画とか、殺人トマトが襲ってくるような映画とかです。
あれってパニックおこしながらもお話の盛り上がりがあって、解決に向けて進んでいきますよね。
そう思ってみていると、おかしな出来事の数々を登場人物達はあたりまえとして受け止めているのも納得できました。
むしろツッコミしかないトンチキな事故物件なんて、意図的に異常さを描いてくれているんだと感じられますね。
とんでもない作品でした。よくもあそこまで突拍子がない設定を思いつくものです。
しかもお話自体はちゃんとしていて、俵さんの必死の覚悟に思わずカッコいいと感じさせられもしました。
B級カルト的な作品を愛して止まない方は、きっと好きなんじゃないかと思います、これ。
にしても入居者全滅はないよなあ。
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