生贄第二皇女の困惑【ラノベ感想】

2023年1月11日

生贄第二皇女の困惑 敵国に人質として嫁いだら不思議と大歓迎されています
著:真波潜
イラスト:さくらもち
出版:アース・スターノベル
9784803015416

アマゾンのあらすじより

淑女教育の敗北とまで言われた出来損ないの姫君、クレア。
いつ死んでもおかしくないと覚悟して敵国に嫁いだら、あら大変!
なぜか大歓迎ムード&まさかの王太子妃という好待遇。
それもそのはず、彼女は「生ける知識の人」として待ち焦がれていたのである。
祖国では不用品扱いだった彼女は、内政改革に乗り出し、まずは紙作りに着手。しかしそれをよく思わぬ人もいて……
切り抜けるための策として自ら毒を呷ろうとするクレアだったが――

感想

内政メインの作品と知り読んでみました。1ページ目から追放ざまぁで始まって、たしかに内政メインのお話でした。転生でもないですし、スキルも魔法も出てこない硬派寄りです。目指す路線が私の好みドンピシャだったんですけど……残念なことに好みと違って、全く合わず楽しめませんでした。

 

良かったところは最後として、私にハマらなかったところから書いていきます。

●キャラの描写が淡泊
登場キャラの内面とか主人公クレアとの交流シーンはかなりあっさりです。各キャラにガーシュと同じくらいの描写があれば、関係性が見えてイベント時の印象も大分変わっただろうと思うところです。
開幕の追放劇でもあっさりすぎて、イマイチ盛り上がらないんです。読んでいて。それが影響してざまぁのシーンでスッキリ感が薄かったです。
イケメン王子様との交流もあっさりとしていて、恋愛要素はほとんど感じられませんでした。さくらもちさんの美麗なイラストで恋愛を期待していた場合は要注意かと思います。

 

●伏線のない急展開
意表を突く急展開なイベントも、事前に伏線とか振りがあるからこそ読んだ面白さに繋がるんだろうと私は思っています。前振りなしに「じゃーん、実はこうでした」をやられても取って付けたような感じを受けてしまいます。
1例をあげると主人公に従者が増えての顔合わせのシーン。その次に来るのが従者反抗のシーンで、その場面になって「実は過去に…」とかの裏事情暴露があって急展開なとことこかです。この場面は3回読み直しました。顔合わせシーンで挿絵あるんですけど、誰がどの絵のキャラかの説明ないんですよ。ただ名前並べてあるだけでした。それで反抗シーンで誰がどの絵のキャラだったのかが分かるといった具合です。
web投稿ならこういう流れも有りだと思います。でも書籍にまとめるにはお粗末ですよ。アーススターの編集には、もっと仕事して欲しかったです。

 

●内政メインなのに目立つツッコミどころ
がっつり内政読みたい勢に致命的なとこですね。主人公が嫁ぐ王国は、元属国で帝国から様々な制限をかけられていました。その中に知識を制限して人材や本、はては紙の生産まで禁止ってのがあります。王国内に紙はないし、製法も不明。そこへやって来た主人公の知識無双に繋がるんですけど、紙の技術が皆無っておかしいですよね?
王国は反乱を起こして独立しているんですよ。秘密裏に準備して、宗主国の状況を見定めて最適なタイミングで反乱しているんですよ。それだけできて何で技術や知識をこっそり持ち込めないんでしょ?
結婚式をあげるには何ヶ月もかけるのに、行政改革のシーンでは現調もしないのに何で1ヶ月で変更しちゃうんでしょ?? この時の主人公は王国に来たばかりで実務経験はゼロです。どうしてこれで下が動いたんでしょうね。本社からの出向の役員とか、留学から戻ったばかりの2代目が組織をぶっこわす絵と重なって読めるシーンでした。
そうそう主人公は帝国にあ

る本を全て読んでいて、一字一句暗記しています。他国からは"知識の人"と呼ばれているそうです。でも帝国内ではいらない娘なんだそうです。

 

最初に期待しすぎてしまってた反動でアレコレ書いちゃいましたが、作者さんの書きたい方向性は私も好きです。けどいまいち私の好みとは合いませんでした。お菓子にまつわる番外編なんかは、読みやすくて面白かったですよ。個人的にはこんなノリぐらいのが好きです。

あと他に良かったところとして、水谷悠珠・かえで透先生のコミカライズです。とても面白いです。絵があるのでキャラに焦点がはっきりあたってます。情報の取捨選択も巧みで意識せずにストーリーが頭に入ってきます。もちろん顔合わせシーンもキャラの顔と名前が一致するよう描かれています。コミック アース・スターで試し読みできます。

コミカライズは良いので、こっちをオススメします。

 

 

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