剣の修羅【ラノベ感想】
剣の修羅 異端陰陽師の剣撃譚
著:雨雲 ばいう
イラスト:小俵 マリコ
出版:KADOKAWAの新文芸
アマゾンのあらすじより
妖が蠢き陰陽師が戦う魔京にて 剣の修羅が斬る!
現代で殺陣役者としてひとりの老人が鬱々と暮らしていた。
老人が願うは死闘、しかしこの世にその思いを叶える強敵はいない。
手の届かぬ夢に胸を焦がしたまま、老人は病で絶命してしまう。
しかし、目を覚ますと彼は貴族陰陽師の子息になっていた。
ここは最後に出演した、京に跋扈する魑魅魍魎と陰陽師が戦う映画の世界。
自分はその悪役であることを知った老人は、
「己のすべてをかけた死闘」を主人公と交えるべく、剣の修羅となる!
感想
主人公のイカれっぷりが突き抜けました。ここまで徹底しているとみてて気持ちよくなってきます。
主人公の言動が終始一貫していて楽しかったです。バトルジャンキーすぎますね。
一応は平安の世に陰陽師や魑魅魍魎が跋扈するフィクション世界に転生です。
でも他の転生とはかなり受ける印象が違いました。
まず主人公は転生前から明らかな異常者です。ヒリつくような殺し合いを心から望んでいて、強者との死合で首をはねられたら本望ときていましたからね。
世に放ってはいけないタイプの人斬りで、ギリギリのところで踏みとどまっていた異常者でした。
それが死後、前述の化ケ者が実在するフィクション世界へ転生です。待ち望んでいた命のやりとりが当たり前の世界ですよ。
そこから剣にのめり込んでいって、剣に魅入られていく様は圧巻の一言でした。
しかも強敵と剣を交えて殺し合いをしたいから、自ら争いを招く言動をこの主人公はするんですよ。降りかかる火の粉に自ら飛び込んでいくタイプです。
強敵と死合いたいとの本能に忠実で、ここまで突き抜けて正直だとどこまでいけるか応援したくなってしまいました。
主人公は剣の達人を切り、魑魅魍魎を切り、果ては神すらも切ろうとしましたから、いったいどこまで剣を極めてしまうのか楽しみです。
タイトル通りに主人公は剣の修羅で、バトルジャンキーです。ただし見境なしってわけじゃなく、「義」に背かないとマイルールがあるのは好感を感じるところです。剣の修羅として行動に一貫性があるのは魅力的ですね。
そして1巻目にはもう一人、私がお気に入りの修羅がいます。
その修羅は主人公のお師匠様です。
剣のために生きて剣を修めて生涯を、信じた弟子へ全て継承したい。そのためになりふり構わず、偶然であった主人公に全てを託そうとするんです。
まさにお師匠様の執念もまた剣の修羅で、彼が人生の目的を果たしたシーンは感動的でした。
まあ他にやりようはなかったのかと感じるかもしれませんけど。
1巻目のラストは主人公の思い人と出会うシーンでおわっています。
念願の相手と出会って2巻目はどんな修羅をみせてくれるか楽しみです。
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